「そう言えば、近田君の話って何?」

なかなか本題に入らない彼に、私から問い掛けてみる。

というのも、もうすぐ駅に着いてしまうから。
彼は電車通学の様だけど、私は徒歩通学だ。駅に着いたら別れなければいけない。


「あぁ、あのさ……」

彼はどことなく言葉を濁し、ザクザクと音を立てながら草がぼうぼうに生えた土手を下っていく。
私も同じ様に土手を下りて、一番下まで到着すると、今度はジャリ、という音が足元に響く。
この河原も、久し振りに来たな。
中学の時はここが〝あの子達〟との溜まり場みたいになってたっけ……。


辺りに私たち以外には誰もいない。

空がほんのりとオレンジ味を帯びている。


本当に、近田君は私に何を聞きたいというんだろう?
今日初めてちゃんと会話をした私に。


少し間の後、彼はゆっくりと口を開く。


「お前さぁ、何でそんな格好してんだ?」

「え?」