「…連れていくか…否か…」

「…やっぱり駄目でしょうか?」

「ん〜…」

「陽は優柔不断だものねぇ」


月が陽を見ながら言う。


「………悪かったな」


少し口を尖らせる。


「もしかして怒った?そんなつもりで言った訳じゃないの。ごめんね」

「………いや…」


月から視線をそらす。


「……でも…仮に風歌ちゃんが仲間になったら、風の国は俺達にとってどんな関係になるんだ?同盟を組んだりするか?」

「そうですね…私が父上に申請すれば、同盟を組む許可がおりると思いますが……」

「そしたら確実にARMSを集めるのが楽になるよな…」


考える陽。


「でも、成し遂げようとする目的が互いに違うなら同盟は組めないわよ。私達アリアドネは、≪全てのARMSを回収して戦争を本当の意味で終わらせる≫のが目的。だけど風の国は、≪戦争を再戦させて7つの大国の頂点にたつ≫のが目的。相成れないわ」


四季は冷静に喋る。


「それは過去の事です。今は違います」

「どういう意味?」

「そのままです。風の国は、父上の計らいにより、再戦を望む者は全て解雇し機関から遠ざけました。今の風の国はあなた方と同じ、戦争を終わらせるのが目的です」

「どうだか…」


見合う2人。





「…海里ちゃんと陸は?」

「え?」

「2人はやっぱり、風歌ちゃんと一緒にいたいよね?」


「………」


顔を見合わす海里と陸。

風歌は心配そうに2人を見つめる。



「俺…事情はよく解らないけど、風歌は大事な友達だから一緒にいたい。風歌がいなかったら、海里の事を追い掛けれなかったし…」

「私も一緒にいたいです。大切な友達だから……。風歌は信用できる人です。知り合って2年しか経ってないけど、本当です」


有難う…


心の中で呟く風歌。


「うん。俺も、風歌ちゃんが嘘つくような人には見えないんだよなぁ」

「陽、ちゃんと考えろよ?こいつは風の国の、それも王女なんだぜ!?信用できるかよ!風の国が過去にしてきたことを忘れた訳じゃねぇよな?」


2人は風歌を連れて行く事を断固として認めないようである。