放課後、海里は風歌と一緒に学校から帰った。


「あ〜今日も1日長かったね」

「…」

「授業、眠かったなぁ」

「……」


「海里?私の話、聞いてる?」


海里の顔をのぞきこむ。


「えっ?…あ、ごめん聞いてなかった‥」


慌てる。


「もうっ!海里ったら!!」

ちょっと顔を膨らませる風歌。


「ごめんね。考えごとしてて…」


両手を縦に合わせ、謝る。


「何考えてたの?」


「…ARMSのこと」


「…え?」


「歴史の時間に先生が話してくれたでしょ?それで、母さんのことを思い出してさ」


「………」


「授業じゃやっぱり詳しい事はやらないんだよね」

「それってどういう意味?」

「だって、私はARMSにはそれぞれ共鳴者っていう人達がいるっていうことと、≪共鳴者じゃないとARMSは操れない≫ってこと知ってるのに教科書には書いてなかったし…」

「今戦争をやっていた人達は共鳴者なのかな?そうじゃなかったら、何で戦争なんてやってるんだろう?操れないのに」

「それは、他国に実権を奪われたくないからじゃないかな?」

「実権?」

「うん。どの国だって、自分の国が1番有利な方が良いじゃない。もし兵器であるARMSが他国に渡ってしまったら、その力を恐れて逆らえなくなるでしょ?だから、ARMSを手に入れようとしてるんだよ、きっと」

「…その為に共鳴者は殺されるの?」


「…海里?」


母親が殺された時のことを思い出す海里。


今でも、10年経った今でもあの時の出来ごとは、鮮明に色あせることなく、一部一部しっかりと記憶に残っている。
絶対に忘れることはない。


母さんのARMSは今どこにあるのだろう。
共鳴者がいないARMSを集めて何の意味があるのだろう。
私が暮らしていた国は、無事なんだろうか。
…そして、1番気掛りなのはお姉ちゃん。
2歳離れた海里の姉。
名前は桃原海咲(みさき)。
母さんと国を離れる時
「私にはこの国を守る責任があるから残る。」
とお姉ちゃんは言った。