学校までの道のりは歩いて15分弱。
海里達の他にも通勤途中のサラリーマンや小学生
いろんな人が時には急ぎ足で時にはお喋りをしながら
学校や会社に向かって歩いている。



「海里、陸おはよう!」


2人の後ろから女の子の声。

振りかえる海里と陸。


「あっ、おはよう風歌」


「おはよう」


風歌は海里の隣りに並ぶ。


「ねぇねぇ、海里宿題終わった?」


「あ〜…やってない」


ヤバいという表情をする。


「陸は?」


「俺は誰かさんと違って、完璧だぜ」


自慢げに言う。


「誰かさんって私のことぉ!?」


少し怒り気味に陸の鞄を引っ張る。

「別に海里のことだなんて一言も言ってないぜ?」


「…むむぅ……!」


ぶーたれる。


笑う陸と風歌。






通学途中は毎日こんなかんじ。
いつも海里と陸が歩いていると後ろから風歌が挨拶して来る。

いつからか3人で学校に行くのが当たりになっていた。








緑野風歌(みどりのふうか)――風歌は海里と陸のクラスメイトで海里の1番仲の良い友達。

綺麗な金髪ロングでどことなく気品の漂う不思議な女の子である。

なぜ不思議なのかというと
学校の誰1人として
風歌がどこに住んでいるとか家族構成は何人だなど、風歌のことについて知っている人がいないのである。
もちろん1番の仲良しである海里さえも。


風歌自身も自分のことについて何も語らない。