へなへなと座り込んでしまったなるみの顔を覗き込むと、両手で顔を覆う。

意識してくれてんのかな、と思うだけで頬は緩んだ。



「イチャイチャしないでくださいよー」



「してないから……!」



勢いよく否定するなるみに「そこまで言わなくても」なんて言いつつ、これ以上近づくと怒られかねないから鳴りまくるスマホに触れる。

……あーもう。時間掛かりそうだな。



本命がいるのを理解しながら遊んでくれる子達でも、さすがに突然『やめる』なんて言い出したら納得してくれねえか。

そこまで遊びまくってた俺が悪いんだけど。



「最悪番号変えてアカウント作り替えるか……」



めんどくせえなーと思いながらも丁寧に返事して関係を切っていたら、不意になるみがいなくなっていることに気づいた。

いやいや。うちの姫どこ行ったんだよ。




「なるみどこ行った?」



「え? ああ、部屋じゃないっすか?

衣沙さんが構ってくれないって怒ってましたよ」



「なにあいつそんなかわいいこと言ってたの?」



「いや、『衣沙が無視する。嫌い』って言ってましたけど……」



嫌い、ねえ。

……それが本心じゃねえのは、わかってんだけど。



「なるちゃん俺のこと嫌いって?」



霧夏のトップしか入れないはずの部屋。

顔を出してベッドに寝転がるなるみを見れば、彼女はあからさまに嫌そうな顔をした。