「……姐さん。

さっきから衣沙さん何してるんですか?」



「さあ……

来た割にずっとスマホ触ってるわよね」



「ですよね。っていうか、姐さん……!

俺好きな子とお近づきになりたいんですけど!」



後ろで何やらごちゃごちゃ言われてるけど気にせずスマホを永遠と触っている俺。

何を隠そう連絡先に入っている女の子たちに片っ端から『ごめんもう遊べない』の連絡中だ。



即レスで返事がかえってくるのもあるから終わらない作業。

『いいよ』と言ってくれた子もいるけど、『なんで?』の方が多くて、『俺一途になるから』とかいうふざけた返事を返すのもそろそろツラい。



俺一途になるから、ってなんだよ。

元々一途ですけど? なるみオンリーですけど?



……浮かれすぎかよ俺。

あ、兄貴から『週末なら空いてるよ?笑』って返事返ってきた。いや、"笑"じゃねえよ。俺となるみがデートなの知ってんだろ。わざとだろそれ。




「まずその髪色やめれば?

あと世間には"ただしイケメンに限る"って言葉があるから、強引にするんじゃなくて、一つずつ段階を踏むことくらいじゃない?」



「なるほど。

……イケメンなら強引でも許されるんですね」



「なるちゃん俺になら何されてもいいって?」



「え?なに? 聞こえなかった」



「嘘だろこの距離で聞こえてないのかよ。

耳の調子悪い? 耳鼻科行こうか」



「おかしいのはあんたの頭と精神」



……うわあ、ひどい言われよう。

「衣沙さんそれ自分でイケメンって言ってますよね」となるみに恋愛相談していたヤツが俺に言うけど、髪色がショッキングピンクなお前に言われても直す気にはならねえよ。