顔を上げれば真っ赤になってるなるみの姿がある。
でもそれ以上何もせずにボタンをとめなおして、なるみの額にキスを落とした。
「ツキのだけ消えればいいのに」
「へ、」
「ってか消せ。
……残しとくのは俺のだけでいい」
無茶なこと言ってるけど。
あいつのだけ先に消えてくれればいい。……俺のだけ残して、俺だけのものって独占させてくれたらそれでいい。渡す気なんてねえよ。
「……まあ、消えたらまた付けるけど」
真っ赤になったまま固まってるなるみに、ふっと笑ってみせる。
……さてと。兄貴となるせと作戦会議しようかな。
「霧夏寄って帰る?」
「え、え……?
衣沙が自分から誘ってくるとか明日何が降るの?」
「お前への愛じゃない?」
「……っ」
ああ、浮かれてんな俺……
このままだとすぐ「好き」って言いそう。
「あとお前のせいで俺昼食いそびれた。
……だから明日、ちゃんと約束果たせよ?」
まあ、それ以上に良いもんもらっちゃったけど。
……これで、過去の自分にセーブをかけてた原因は綺麗さっぱり消えてくれた。だから、あとは。