「よし、約束な。えーっと、名前は?」
名前!?
本名言ったら、さすがにバレちゃうよね。
同じクラスだし、私の名前を知らないわけがない。
何も言わないでいると
「ごめん、それも言いたくなかった?なんでもいいんだ!呼び方ないと不便だなって思っただけだし…。」
「あやか…。」
名前だけつぶやいた。
バレないことを祈って。
「あやか?いい名前じゃん!おっけ、あやかね!」
ほっ。
バレなかった。まぁクラスで私を絢香と呼ぶ人はいないし、多分大丈夫だよね。
「あ、俺もう行かなきゃ。じゃあ、また明日、あやか。」
葉山くんは、そのまま急いで屋上から出ていってしまった。
あっち側の人と話したのなんていつぶりだろう。
葉山くんは他の人とは違うかもしれない。
でも、だめ、信用しちゃだめ。
自分の気持ちが緩んでいることに鍵をかけた。