身を引いた私 でも、、、

「あ、ここが一旦恵の部屋ね。私は右の部屋が自室だから」



恵「はい」



「あ、ちょっと待ってて」



と言って、タンスから新品の下着と、客用の寝間着を出す。



「これに着替えて。あ、お風呂入る?」



恵「いえ。今日は疲れました。おやすみなさい」



「おやすみなさい」



と言い、私は部屋から出た。



自室に入り、寝間着を持って風呂場へ行く。



家のお風呂は露天で、今日は疲れを落とす為にゆっくり入ろうと思う。



髪を洗って身体を洗って、



ポチャン



と音を発てて湯に浸かる。



暖かい。



……………。



芹沢、悠木、木ノ下組は潰した。



後は毒竜をどうにかすれば良いだけ。



でも、毒竜をどうにかした後、どうすれば良いんだろ。



桜花との接し方、学校生活、黒龍との接し方。



色々あるし、恵の事もある。



考える事がいっぱい。



と思っていたら、少しのぼせてきた。



上がりに冷たい水を浴びて、少し身体を冷やす。



身体を、髪を拭いて、寝間着を着る。


私1人しか居ないので、辺りはシーンとしている。



………。



髪をドライヤーの風で乾かし、目の前の鏡に写る自分を見る。



あれ?



私、いつから笑えて無いんだろ。



それに、何で涙が。



涙を拭い、考えてみる。



何で笑えてない?



何で涙が出てる?



…………。



考えなくても、分かるじゃ無いか。



私が泣く時。



私がおかしくなる時、必ず考えてたもの。



思い出してたもの。



それは、



「桜花」



誠哉に明日斗、大樹に一。



下っ端達。


戻り、たいな。



前みたいに、笑い合える仲に。



誠哉。



あれ?



心の中で、桜花を思い出していたら、どうして誠哉の名前が。



………これはパンドラの箱だ。



絶対、開けてはいけない、分かってはいけないんだ。



これだけは。



そう思いながら、私は自室に戻った。



そして、眠りについた。


次の日。



と言っても、私にしたら数時間しか寝ていないが、



とにかく、有紗と陽翔と一緒に学校へ行く。



恵も一緒に。



恵には、私の制服を貸した。



せめて龍輝と竜也の誤解を解くためにも。



黒龍は今日は休むか遅れると思う。



いや、実を言うと置いてきたんだ。



と、に、か、く。



私達は理事長室に直行した。



龍輝「どうしたんだ?って、誰だそれ」



恵「あ、あの、私です。そ、その、芹沢恵」



龍輝「芹沢、恵。って、ケバかった!?」



恵「そ、そうです。不快な思いをさせてしまったんなら謝ります。色々すみませんでした」



と言い、ペコッと頭を下げる恵。



龍輝「いや、でも、何で」



あ、説明しないと。



「脅されてたんだよ」



龍輝「脅してたんじゃ無くてか?」



とまぁこの後、色々と頑張って説明して、理解して貰った。


龍輝「そうか、そんな事が。分かった」



「良かった」



恵「あの、ちゃんと皆には言います。騙してたことも、情報を流してた事も、全部」



龍輝「そうか」



恵「はい」



と、



コンコン



とドアがノックされたかと思うと、



ガチャ



と開いて入ってきた桜花一同。



ちなみに、私は今男装みたいな感じで変装してるから大丈夫だと思うけど。



会いたいって思ってた相手が、すぐ目の前に居るんだから。



でも、



「有紗、やっぱり」



有紗「うん」



と言って、私を隠すように陽翔と一緒に前に出てくれた。


「ありがとう」



有紗「ううん」



陽翔「気にするな」



「うん」



優しいな。



と思っていると、



誠哉「龍輝さん、毒竜が攻めてきます」



龍輝「いきなりだな」



誠哉「スミマセン、今日の朝いきなり情報を見つけたもので」



龍輝「そうか」



焦ったのかな。



バックの組が全てやられて。



と思っていると、



大樹「龍輝さん、千代は帰ってくるんやろか」



明日斗「今すぐにでも帰ってきて欲しいなー」



と、何やら暗くなる桜花。


龍輝「うーん、案外近くに居るかもな」



龍輝!?



誠哉「そうでしょうか?」



龍輝「知らねぇけど」



…………。



一瞬シーンとし、



一「まぁ、今は抗戦に集中しよっか!!」



と言う一の声で、



誠哉「そうですね」



明日斗「あ、せやったせやった。龍輝さん、今すぐ生徒達体育館に避難させて」



と、皆少し明るくなった。



龍輝「おう!」



で、放送を始めた龍輝。



すると、



誠哉「貴女方も体育館へ避難してください」



と、私達に言ってきた。


と、



恵「あ、あの、誠哉君」



誠哉「はい?」



恵「私、分からない?」



いやいや。



誠哉「どこかでお会いしましたか?」



やっぱり、分からないよね。



あの時は何となく分かったけど。



有紗「恵だよ。芹沢恵」



誠哉「え?」



一「恵?」



大樹「いやいや、全然ちゃうで。恵はもっと化粧してるし」



恵「いえ、本当に、芹沢恵です」



明日斗「いや、でもなぁ」



と、全員信じられないらしい。



すると、



「バイクの音がする」



台数は、100、200。