「よろしくね。何時だっけ?」

俺はオープンの時間を聞いた。

「22時オープン。私たちは二部の頭だから2時くらい。」

エリィは携帯で時間を確認しながら答えた。

「わかった。何時ぐらいに入る?」

「私たちは12時ぐらいかな。」

「じゃあ一緒入ろうよ?」

「うん、一緒に入ろ。彼氏も来るけど会ったことあるんだっけ?」

どうやらエリィの彼氏も見に来るらしい。3ヶ月ほど前に出来たらしいのだが、俺達はまだ会ったことがない。

「いや、会ったことないよ。」

と俺が答えると、

「じゃあ紹介するね!」

と嬉しそうに言った。

俺はどんな男が来るか期待しながら、約束の時間を確認して練習に戻った。



ミラーもペケとのじゃれ合いを終えてこっちに戻ってきて練習を再開。

ここからはいつもbattle形式で実戦式の練習だ。

まずはシュートと俺が向かい合い、ミラーとキンギョはそれを見ながら個人練だ。

シュートは波に乗るようなグルーヴの中にキレのあるムーヴを入れ、緩急を上手く付けてくる。

俺の踊りは対局に緩急なく、単調に見せ所を作れずに終わることが多い。これが俺の弱点でもある。

一曲を交互にひたすら踊る。それをひたすら朝まで続ける。

俺とシュートが一曲踊りきり、ミラーとキンギョに交代。

ミラーはとにかく奇抜なムーヴが多く、見てるとついつい笑ってしまうのだが楽しさが伝わる。

キンギョはシュートについて回ってるわりにシュートに似ず、堅実でベーシックにこだわった踊りをする。

各々が自分に課題を与えながらひたすら実戦式でその課題のクリアに近づける。
そんなことを入れ替わり立ち替わりひたすら繰り返す。



そして体力が限界を迎えた頃、夜が明け出す。