帰りの電車に乗り、改めて家路につく間、俺はユリの言葉を思い返していた。

俺は実際、エリィの事をどう思っているのだろう…。

エリィは美人で姉御肌で同年代のダンサーやイベント関係者、行く先々のクラブにいるグラバーからアプローチを受ける人気者だ。

対して俺はいまだにどこか元カノを引きずってるし、正直に言ってしまえばモテたこともないし、いつも良い人止まりで良い人にすらなれないことが多い。

こんな俺とエリィの組み合わせをユリは合ってると言った。

俺には到底そうは思えない。

エリィはもっといい男なんて五万と寄ってくるだろうし、俺は…

俺は…?

俺自身の気持ちはどうなんだ?

エリィの事が好きなのか?

それともただの友達なのか?

なぜさっきエリィの家の前まで行った?

なぜエリィのことをこんなにも気にしてる?

俺は…エリィに惹かれてるのか…?

だとしたら元カノのことは?

もういいのか?

いや、今でも戻れるのなら戻りたい。

しかしエリィの存在は前よりも大きく、形を変え始めてる…。

俺は元カノを引きずることで次に進むことを無意識に拒んでるんじゃないか?

新しい恋愛をする事にビビってるだけじゃないのか?

ビビってるからそれを隠すために元カノを見てるだけなんじゃないのか?

だがしかし…



家に着くまで自問自答を繰り返し続けた俺の頭の中はすでにパンク状態で、着くなりベッドに倒れ込み、そのまま眠りについてしまった。



目を覚ますと、うっすらと部屋に夕陽の光が差し込んでいた。

幸い今日は休みだった俺は寝ぼけながらも風呂に入ろうと湯を沸かす。

沸かしている間、タバコを吸ってぼーっとしていると、携帯の受信知らせが光っていることに気付いた。

見てみるとメールが三件、電話が二件来ていた。

電話の方から確認すると一件はバイト先から、もう一件は…エリィからだった。

着信の名前を見た瞬間、一気になんとも言えない緊張が俺の左胸から全身を駆け巡った。