イベントの名前は

『king of king』。

半年に渡って予選をを行い、決勝大会を行うbattleの祭典。
今年から始まる新参イベントだが、ジャンルを区別しないfreestyleでのbattle、final優勝者には賞金10万にトロフィーが授与される。
まさにダンサーNo.1を決めるbattleだ。



「みんなで出ようぜ?」

シュートは俺達に呼びかける。

「出たい!」

ミラーが一番に話に乗ってきた。

「俺も出ますよ!」

キンギョも乗った。

「マッシュはどうする?」

シュートは俺に聞く。

「…出るよ。」

俺もそのbattleイベントとしてのバリューに引かれ出ることにした。

「よし、じゃあ1ヶ月これに向けて頑張ろう!」

みんな俄然やる気を見せ、練習を始めた。

目先に目標が出来るとやる気を出すのが俺達クルーの特徴でもある。



熱の入った練習をしているうちに気づくともう時計は朝方をさし、いい時間になっていた。

俺はコンビニに行くことにした。

すると、

「待って~!」

とミラーがついてきた。

2人でコンビニへ向かって歩いているとミラーは俺に変なことを聞いてきた。

「あのさ…ペケってどう思う?」

そのアバウトな質問に思わず、

「はぁ?」

と驚いてしまった。

「何、急に?」

俺はミラーに問いかけると、

「いやぁ、ペケって好きなヤツとかいるのかなぁと思ってさ…。」

と少し照れるように言った。

鈍感なミラーもさすがにペケのアプローチに気づいたか…俺はそんなことを思いながら、

「ペケに惚れてんの?」

と聞く。

「ちげーし!そんなんじゃねぇし!」

ミラーは顔を赤くしながら声を荒げる。わかりやすいヤツだ。

俺はからかうように、

「彼氏とか急に出来たらどうする?」

と聞いてみた。

「…べっ、別に俺には関係ねぇし!」

ミラーは想像してしまったのか動揺を隠せないでいる。

俺はそんなミラーを見ながら、

「大丈夫だよ。ペケはフリーだから。好きなヤツはいるみたいだけどね。」

と思わせぶりに言った。

「ふ~ん…そうなんだ…。」

ミラーは意気消沈したようにうつむいた。

本人はまだペケの気持ちには気付いていないらしい。