改札を抜け、駅を出て目の前の道をまっすぐ進む。

エリィはふらふらと歩いている。

俺はエリィに、

「コンビニ寄る?」

と聞く。

「ん~、エクレアが食べたいから寄る~!」

エリィは笑顔で振り向きながら答えた。

電車を降りてから、エリィはずっと子供に戻ったようになったままだ。

普通の男ならこのギャップで落ちるだろうなと思いながらコンビニへ向かう。

「エクレア~エクレア~…」

甘い物好きのエリィは上機嫌に俺の手を引く。

コンビニに入り、エクレアを見つけるとエリィは2つ手にした。

「エリィ2つも食べるの?」

「ううん、私の分とマッシュの分!」

「え?俺の分?」

「そう!」

エリィは無理やり俺にエクレアを渡してきた。

俺はしょうがなしに、

「はぁ…、わかったよ。」

とエクレアを買った。

コンビニの外に出ると、再びエリィは俺の手を取って歩き出す。

俺は離すでもなく、嫌がるでもなくそのままエリィの家まで送った。

エリィは鍵を開け、

「ただいま~!」

と靴を脱ぎ捨て、部屋に入る。

エリィの家に来るのは3度目だ。

みんなで飲んだのが一回、元カノの相談をしてる時に一回。

相変わらず広めで綺麗な部屋だ。壁際には電子ピアノとパソコンとテレビがあり、反対側にはベッドがある。

エリィはベッドに腰を掛けた。

俺は玄関の脇にエリィの荷物を置き、

「ゆっくり寝て、起きて酔いがさめたらみんなに謝っとけよ。じゃあね。」

と帰ろうとした。

ドアを開けようとした瞬間、エリィは俺の服の裾を強く握って引っ張った。

「…なに?」

「…。」

エリィは黙ってうつむく。

俺は振り返り、エリィの肩をポンと叩いた。

「…シャークさんの事?」

俺はそっと聞いた。

エリィは何も答えない。

「好きすぎるってゆうのもきっとダメなんだろうな…でもエリィが好きなら、無理に気持ち抑える必要ねぇんじゃねぇの?」

エリィは小さく震えながら涙を堪えてるようだった。

そして小さく言った。

「…知っちゃったよ…知りたくなかったこと…。」

その言葉と同時にエリィは崩れ落ちるようにしゃがみこみ泣き出した。