「まぁ、吐いたりしたら少しはよくなると思うけど…。」

とペケも少し心配そうに言う。

そこへシャークさんがやってきた。

「エリ、ベロベロになってるの?」

と俺に聞いてきた。

「そうなんすよ。今ユリがトイレ連れてきました。」

俺は今の状況を軽く説明した。すると、

「そうか。ユリちゃんが付いてるなら大丈夫だな。なんかあったら呼んで。」

そう言ってシャークさんはフロアに戻って行った。

あっさりとしたシャークさんの対応に、俺はあの疑問の真意を少し垣間見たような気がした。

シャークさんのよからぬ噂…少しだけ俺の中で真実味を帯びだしたが、付き合い方は人それぞれだ。軽いノリで付き合ってるカップルもいる。俺がそこを勘ぐっても仕方がないことだ。

だけど心配じゃないのか?

俺のシャークさんに対する見方はこの一言で少し変わった。



そこへエリィがユリに連れられて帰ってきた。

「…わぁたしはね…それでもなぁるが好きなの~!」

とエリィは声を張り上げる。

「『なる』って誰?」

俺はエリィに聞こうと思ったが答えられそうになかったからユリに聞いた。

「はいはいわかったよ~。…あ、『なる』ってシャークさんの事。名前が成人(なるひと)だから。」

ユリはエリィを介抱しながら答えた。

「シャークさんか…。」

俺はフロアに戻りエリィのことなど構いもせず踊るシャークさんに目をやった。



しばらくユリとシュートと3人でエリィの介抱をしながら飲んでいると、また1つ引っかかるワードが頭をよぎった。

…わぁたしはね…それでもなぁるが好きなの~!

「それでも」ってなんだ?
なにかあったのか?

俺の中にまたどうしようもないわだかまりが広がる。

なぜ俺はそんなにエリィとシャークさんの仲が気になるのか…エリィの悲しいげな顔が何よりも強く記憶されたのはなぜなのか…

自分でわだかまりを膨らませてるうちに、イベントは終了の時間を迎えた…。