しばらく柔軟やリズムに合わせて体を動かしていると、テンション高めで軽快に歩いてくる人影が目に入る。

「ぃよっす!」

この独特の挨拶をする奴はミラー。

本名は加賀見健(かがみけん)。

加賀見→鏡→ミラー…って感じだ。

ミラーは24歳で、1つ上だけど学年が同じだったからタメ語で話す。

因みにコイツも彼女なし。



「他はまだ来てないの?」

ミラーは着替えながら聞いてきた。

「あ~、まだみたいね。どうせニャンニャンしてるんでしょ。」

「きくしょー!俺も彼女欲しいなぁ!」

なんて話してると、噂をすればなんとかとゆう言葉通り一組のダンサーカップルがやってきた。

「おはよう。」
「おはよう。」

声を合わせて挨拶したこの2人はシュートとユリ。

シュートの本名は柳沢蹴斗(やなぎさわしゅうと)。

親がサッカー好きでついた名前らしいが、高校時代はバスケ部だったらしい。
年は俺とタメの23。

ユリは本名、木ノ下優里(きのしたゆり)。歳は20でhiphoper。

この二人は付き合って二年になる。
シュートが隣で練習していたユリに一目惚れしたのがキッカケだ。
それまで遊び人だったシュートはユリに出会ってからパッタリと女遊びをやめて猛アタックをし、11回目の告白でようやく付き合いだした。



「私着替えてくるね!」

と言ってユリは近くのコンビニへ行った。

ユリが行ったのを見計らってミラーがシュートに突っ込んだ。

「いつも一番乗りのお前が今日は遅いじゃない、ニャンニャンしてたんか!?」

するとシュートは

「ニャンニャン…してたよ。だって今日は、ユリの誕生日だもん。」

俺とミラーはユリの誕生日をすっかり忘れていた。

あ、因みに『ニャンニャン』とは俺らの間では『イチャイチャすること』や『性行為』を意味する言葉。

ユリの誕生日をすっかり忘れてた俺とミラーは近くのケーキ屋にケーキを買いに行く事にした。

もちろん即席とはいえサプライズしたいがためにシュートに嘘をついてもらうように協力を求めた。