battlers high

何度か出ては同じ様に気持ちが宙に浮いた踊りをする自分に腹が立ってきてDJタイムをろくに楽しめそうになかった俺はバーカウンターに行って酒を飲むことにした。

ビールを頼み、１人サークルを眺めながら酒を飲む。

しかし、頭の中にはエリィのファミレスで見せた一瞬の悲しげな表情しか浮かばない。

特に恋愛感情などではないが、どうしても気になる…。意を決してシャークさんに突っ込むべきか…いや、そんな事したら火のないところに煙を立たせることにもなりかねない。

俺が思考を巡らせていると、

「何してんの？踊らないの？」

とエリィがビデオチェックから戻ってきた。

「なんか気分的に飲みたい感じ。」

と俺はビールを口に運ぶ。

「なんかあった？」

エリィはいつもと違う俺を敏感に察知したように聞いてきた。

「…いや…なんもないよ。シャークさんとこ行ってこいよ。」

俺はビールを飲みながらエリィの肩を押した。

「踊ってるときは私なんて放ったらかしだから行かない。…すみません、カシスオレンジ！」

エリィは俺の手をそっと下ろし、バーテンに酒を頼んだ。

「カンパ～い！」

とエリィは多少強引に俺の持つグラスと自分のグラスを合わせた。

「…シャークさんとどうなの？」

俺は自分の中のモヤつきを解消させたかった。

「どうって？」

エリィはカシスオレンジをかき混ぜながら聞き返してきた。

「この前悩んでただろ？」

俺は直球をぶつけてみた。

「…。」

エリィは答えない。

「シャークさんと話した感じだと、いい人そうだし、そんなに女遊びが激しそうには見えねぇ。噂に流されてるだけなんじゃねぇ？」

思ってる事を素直にぶつける。

「…。」

エリィは黙ったままだ。
その顔は悲しげで平常心を保とうといっぱいいっぱいになってるように見えた。

「…ファミレスの時も一瞬そんな顔してたな。…答えたくないなら無理するな。答えずらいこと聞いて悪かったな。」

俺は思ってる事を口にしたことで少しだけ気が楽になった。
だからそれ以上の事は聞かなかった。

「…うん…。ねぇ、飲もう？」

とエリィは無理やりな笑顔を作りながら空のグラスを見せて言った。