「…彼氏となんかあった?」

俺はエリィに恐る恐る聞いてみた。

「別に…何にもないよぉ。」

とエリィは携帯をいじりながら答えた。

が、その携帯をいじる手が一瞬止まったのを俺は見逃さなかった。

「そっか…何か頼む?」

俺は見ないふりをして話をそらした。
深追いしない方がいい気がした。

各々メニューを頼み、飲み食いしながら話しているとペケが帰ってきた。

「ただいま~!ミラーさん一口ちょうだい?」

と帰ってきて早々にミラーの横で口を開けて待っている。

「お前にやるもんなんてねぇ。」

とミラーはペケを無視して食べ続けた。
まだ拗ねてる様子だ。

「ぶぅ~…」

とペケも拗ねだした。
2人ともまるで子供だ。

しばらく飲み食いしながら話していると、

「もうそろそろ行こうか?」

とエリィが荷物をまとめだした。

みんなそれにつられて荷物をまとめファミレスを出て向かいにあるクラブへ。



このクラブは「bingo」(ビンゴ)。

この界隈では三つの指に入る広いワンフロアのクラブだ。

「じゃあ受付には言ってあるからウチらのチーム名言ってね!」

と言い残し三人は受付にパスになるハンコを見せ、クラブの中に入って行った。

後を追うように俺達も受付を済ませて中へ入っていった。

フロアに続く通路の壁にはロッカーが並んでいる。普通は大概、荷物はロッカーに入れるが俺達はスルーして出演者の控え室からclearの三人を呼び出す。

「荷物よろしく!」

「うん、わかった~!」

とclearの三人と一緒に荷物を置かせてもらい、ロッカー代を浮かせる。

そして俺達は左手にあるバーカウンターを素通りしてフロアへ向かった。

フロアではDJがチョイスした流行りのhiphopに乗せて様々なダンサー達が踊っている。

俺達もそんな中に飛び込み踊り出す。

ふだんはfunkなどしか聴いていないが、流行りのhiphopが嫌いな訳ではない。

むしろ好きだ。

俺達が体を弾ませるように踊っていると、一際目立つスキルを持ったダンサーをが目に入ってきた。