「うん。」
ちょっと寂しそうな顔を隠せない凪。家に帰りたくないのがわかる。
『そっか。またね。』
「おう!また来る!」
「あーちゃん、またね。」
私は皆の頭を順番に撫でてあげる。
最後に凪の頭を撫でるけど、まだ晴れない顔をする凪。
響と颯汰は先に玄関の方へと行ってしまった。
『凪、おいで。』
今日は皆がいる手前、甘えることが出来なかった凪。手も繋いであげられなかったしね。
私が手を広げると戸惑いながらも私に抱きついてくる凪。
『また来てね。』
「...うん。」
そう返事が返ってきて、話そうとすると、
「まだ...もうちょっと。」
そう言って、私に強く抱きついてくる。
敬語も外れて甘えモードの凪。....可愛い。
私はあまりの可愛さにちょっと力強く抱き締めた。
「い、痛いよ朱音お姉ちゃん。」
そう言いながらも嬉しそうな凪。
『もう皆待ってるから行かないとね。』
そう言って、離すと名残惜しく感じているのか少し寂しそうな顔ではあるけどさっきよりはましだ。
私が貸した本を大事そうに抱えて走っていく。
私は凪を見送って作業を再開させる。
明日は日曜日。晩ごはんだけ作ればいいからまだ準備しなくて良いかな。
毎度、作ったものを完食してくれる組員さん達。
作り甲斐があるな。
すべての作業を終えて私も帰る準備をする。
白木さんに声をかけて家まで送ってもらう。
今日はいろんな事あったな。ランから借りた服も洗わなきゃ。
そう考えているうちに家についた。
白木さんにお礼を言って家に入る。
白木さんに送ってもらい、家の中に入った私。
とりあえず、今来ている服はランの服なので洗濯機に入れておく。
...ついでにお風呂でも入ろうかな。
私は部屋に戻り、服など取りに行く。
夕貴はまだ帰ってきてない様子。
リビングに戻ると豪貴と棗貴、瑞貴がいた。
「あ、朱ねぇおかえりー!」
「おかえりー。今帰ったの?」
「ねぇね。おかえり。」
上から豪貴、棗貴、瑞貴。
『ただいま、そうだよ。お風呂入った?』
「「もう入ったー!」」
「僕まだ。」
聞くと瑞貴がまだ入ってないようなので一緒に入ることにする。
『瑞貴、一緒に入ろうか。』
「うん!ねぇねと入る!」
二人でお風呂場に行き、瑞貴を先に浴室に入れる。
私も服を脱いで浴室に入る。
瑞貴用の椅子を出してそこに座らせる。
私はその後ろにもうひとつの椅子を置いてそこに座る。
「ねぇね!髪洗って!!」
『良いよ。はい、目つむってー。』
はーい、といった瑞貴。目瞑った事を確認して髪を濡らしていく。
シャンプーを手に取り泡立てて瑞貴の髪を洗っていく。
少し上を向かせて、口に入らないように気を付ける。
「ひさしぶりだねぇー!」
『そうだね。一緒に入るの久しぶりだね。』
最近は一緒に入ることがなかったからね。
『今日空良君と何して遊んだの?』
今日は空良君と遊んでいた瑞貴。
「うーんとね。まずね公園で遊んでー。」
と、思い出しながら楽しそうに話す瑞貴。
「あとね、おつき?の人がいて、その人とも遊んだー!」
おつき?....お付きの人ってことかな。
そうだよね。空良君は本城組の子だから常に見張りが付いているってことか。
『そうなの?楽しかった?』
「うん!おつきの人ねぇー、走るの速くて捕まった!」
と、言うことは鬼ごっこでもしてたのかな?
『流すよ。』
「はーい。」
そう言って、泡を流していく。リンスもしてあげて体は自分で洗わせる。
その間に私も自分の事を済ませる。
先に瑞貴に浴槽に入ってもらう。
私も統べて洗い終えて浴槽に入る。
向かい合っていろんな話をして、遊んだりもする。
「ねぇね、くらえっ!」
『わっ!』
どこからか隠し持っていたお風呂用に買っておいた水鉄砲を私に向けて発射する。