「えっ?なんて?」





小声で聞き取れなかった瞬は私の顔を覗き込む。





「どうして!?どうしてひき殺してくれなかったのよ!!」






私は感情的に怒鳴った。
その反動か、足の力が抜けて地面に座りこんだ。





「真白…」





「瞬ちゃんだったら、殺されても、死んでも悔いなかったのに…。私なんて欠陥品なんだよ。誰にも愛されていないんだよ!生きてる価値なんてないんだよ!」





泣き叫ぶように言葉が出てくる。





母親のあの顔が、私の脳裏に浮かんで苦しめる。愛されることを、諦めていたはずなのに、あの言葉に、傷ついている自分が滑稽で情けない。









たった一人の肉親に、出て行けと言われた私に、生きていく場所なんてないんだ。






少しの間、瞬はただ私を茫然と見つめていた。





そして、何かを決意したような表情を一瞬浮かべ、しゃがみこんだ。





「僕と生きよう」






瞬はそう言って、私に手を差し伸べてきた。