「名はなんと申す?」

「えっ!?」

お父さんが、私を見ながらそう言った。
ってことは、私に訊いてるんだよね?
わかっていてもなんか不安で、私は隣の那月さんを見た。
那月さんは、私の言いたいことをわかってるみたいに、深く頷く。



「は、はい…あ、あの…
三上…三上、あかねと申します。」



緊張のせいで、声が上ずる。
でも、どうにか答えられてほっとしたのも束の間…



「年はいくつだ?」

さらに質問は重ねられた。



「は、はい…今年35になります。」

「那月より年上か…
住まいは?」

「えっ!?」

それは年齢以上に触れられたくない質問だった。
さっき、那月さんに、直接的な答えをするように言われたけど、ここで「家はありません」なんて言って良いものか…そんなこと言ったら、皆、どん引きするよね?
それとも、やっぱりストレートに話した方が良いのか…
困った私は、助けを求めるべく那月さんをみつめた。



「今は、私の家で一緒に暮らしております。」



(えっ!?)

な、なんですと!?
一緒に暮らしてる?
那月さん、どうしてそんな嘘を…!?


私の目は、驚きのあまり真ん丸になってしまった。