きっと高いブティックに行くんだろうな。
那月さんはお金持ちだから、その嫁である私もそれなりの格好をしないといけないってことだよね。



(なんだか大変そうだな……あ、そうだ!)



「あの、那月さん…服を買いに行く前に、昨日、ぬいぐるみを買った雑貨屋さんに寄っていただいても良いですか?」

「あぁ、構わない。
何か、買うのか?」

「いえ、昨日買ったぬいぐるみを返品しようと思って…」

「返品?……なぜだ?」

「私…あのぬいぐるみがあんなに高いとは思ってなくて…せいぜい5000円くらいかと思ってたんです。
本当ですよ!5万円だと知ってたら絶対に買いませんでした。
それに、返品したら5万円が戻って来ますから、盗まれたお金の埋め合わせにもなりますし、それでお土産がいっぱい買えますから。」

那月さんは呆れたような顔で私をみつめ、小さな溜息を吐いた。



「つまらないことを言うな。
5万が戻って来たところで、何が買えるっていうんだ。
あれが気に入らないなら捨てれば良い。」



えー…と。
5万円もあったら、お土産がいっぱい買えるって思ったのは私の勘違い?
だって、500円のストラップだったら、100個も買えるんだよ!?
一体、どこが勘違い…??
それに、5万円もして、しかもまだ新品のぬいぐるみを捨てるなんて…そんな罰当たりなこと、出来るはずがないんですけど