「な、那月さん…」



私の後ろに立っていた那月さんを見た時、感極まって私は号泣してしまった。
まさに、お母さんに迎えに来てもらった迷子状態だ。
ほっとして、全身の力が抜けて行くような気がした。



「……ずいぶん探したぞ。」

「ご、ごべんださい…
わ、私…」

お財布を盗られたことを話さないといけない。
謝らないといけない。
だけど、さっきから泣きすぎて、息が苦しくて、なかなかしゃべることが出来ない。



「とりあえず、戻ろう。」

那月さんはタクシーを拾い、私達はホテルに戻った。







「寒かっただろう。」

那月さんは、紅茶をルームサービスしてくれた。



「い、いただきます。」

香りの良い紅茶が、体を芯から温めてくれた。
それと共に、気持ちもだんだんと落ち着いて来るのがわかった。



「那月さん…ごめんなさい!」

「どうした?」

「じ、実は……」



私は、正直に話した。
財布を盗まれてしまったことを…
怖かったけど…話さないわけにはいかないから。
申し訳なくて、私は顔があげられないまま、さっきのことを一気に話した。