それから、那月さん達は私を放って、なにやら親し気に喋ったり時には笑ったり…
私には話の内容がわからないから、何も面白いことはない。
ただぼーっとソファに座ってた。



「退屈なら、そこらを見て来たらどうだ?
もう少し時間がかかるから。」

私、そんなに退屈そうにしてたかな??
ま、確かに退屈でしたけど。



「はい。そうします。」

特に見たいものがあるわけじゃなかったけど…
私がここにいない方が、きっと那月さんも気兼ねなく話が出来ると思ったから。



「あ、これ…」

那月さんが私に財布を差し出した。



「え?」

「気に入ったものがあったら、それで買うと良い。」

「え、いや…私、欲しいものなんて。」

財布を戻そうとしたけど、那月さんは受け取ってくれなかったから、仕方なく持って出た。



(わぁぁ…)



歩いてる人が、皆、外国人だ。
お店の看板も、皆、英語。
外国に来てるんだから、そんなこと当たり前だけど、やっぱり衝撃的!



(母さん…私、今、ロンドンにいるんだよ。
ハワイじゃないけど、初めての海外旅行に来たんだよ。
母さんとも来たかったな…)



ふと、そんなことを思ったら、なんだか少しじわっと来た。