(わぁ~…)



店の中には絵がたくさん掛かっていた。
そうか…多分、ここは画廊なんだ。



そういえば、那月さんの家には絵がたくさんあった。
いつか聞いてみようと思いながら、最近は慌ただしくてろくに話も出来なかったから、まだ聞けてないけど、那月さんはきっと絵が好きなんだね。



恰幅の良い中年の男性が出て来て、にこやかな顔で那月さんと握手を交わした。
次にその人は私の方を見て、那月さんとなにかしゃべってたかと思うと、今度は私に向かってなにか言いながら私に片手を差し伸ばした。
もちろん、私にはなにを言ってるのか、全くわからない。



「何をしている。握手をしないと。」

「あ、は、はい!」



私は、ぎこちない愛想笑いを浮かべて、その人の手を握った。
とても力強い握手だ。
その人は、なおも何か話し続けてるけど、私には一言もわからない。



「もしかして……お前は英語がわからないのか?」

「は、はい。」

私が答えると、那月さんは露骨に目を丸くした。
そんなに驚くことはないでしょう。
そりゃあ英語の授業は受けてたけど、それでもたいていの日本人は、英語なんてわからないよ!
あなたの常識は一体どうなってるんですか!?