「うわぁ!」

「ほへ~!」

「わお~!」



ロンドンに着いてから、私はずっと驚きっぱなしだった。
だって、初めての海外旅行、それ以前に初飛行機だったのだから。
空港に行ったのも初めてだし、初めてのことが多すぎて私はホテルに着くまで口を閉じる暇さえなかった。



そんな私に那月さんは呆れてるみたい。
きっと、那月さんにとっては海外旅行なんて日常茶飯事…珍しくもなんともないんだよね。



「ちょっと寄りたい所があるんだが…」

「は、はい。」



寄りたい所だなんて、まるで、国内と同じような言い方…
でも、那月さんが行きたい所ってどこだろう?



那月さんは、タクシーに乗り込むと、英語で何か言った。
そうだ!ここは外国!
日本語は通じない。
舞い上がりすぎてそんなことまで忘れてた。
そういえば、フロントでも那月さんは確か英語でしゃべってたよ。



英語まで喋れるなんて、那月さん、なんだかすごすぎ。
でも、そのおかげで海外旅行も何の心配もない。
なんてすごい人なんだろう…って、今更ながらにびっくりしてしまう。



しばらくして、タクシーが停まった。
なんだか個性的な外観…
何かのお店だとは思うけど…
那月さんは、その大きな扉を押し開けた。