(はぁぁ…)



やっぱりかなり疲れてた。
さっきからあくびが止まらない…なのに、なかなか眠れない。
きっと、結婚式の刺激が強くて、脳が覚醒してるんだろうな。



明日は早起きなんだから、早く寝とかないと…
そう思うのに、眠れない。



頭をかすめたのは、両親へのあいさつのシーンだった。
相手は雇った偽者の両親。
なのに、挨拶の文を読んでたら、感極まって涙が止まらなくなった。



そもそも、私の父さんは私がまだ小学校に上がる前に亡くなってる。
そんなことからもおかしいって思いそうなものなのに、まるで本当の親みたいな気分になってしまった。



それって、考えてみればありがたいことなのかもしれない。
私が結婚するとしても、親はいないから、両親への感謝の挨拶なんて本来は出来ない。
でも、便利屋さんのおかげで、出来たんだよね。
あ、便利屋さんじゃなくて那月さんのおかげか…



本当の母さんや父さんに言えなかったことが言えて良かった…



(うん…良い日だったよ…)



じわっと込み上げる涙が、頬を伝って枕にこぼれた。