そして、ついにその日はやって来た。



(わぁ……)



これが私…?
しばし、鏡の中の姿に見惚れてしまう。
若くもなく、地味な私だけど、やっぱりお金と手間をかければそれなりになるもんだと、我ながらびっくりしたり、嬉しかったり…



母さん、どう思ってるだろう?
私のこの晴れ姿を見てくれてるかな?喜んでくれてるかな?
そんなことを考えたら、柄にもなくじわっと来てしまった。



「……いつもよりずっと良い。」

「え?」



振り向けば、まるでモデルさんかどこかの国の王子様のような那月さんがいた。
本当に格好良い…!
わけありだとはいっても、こんな素敵な人の奥さんになれるなんて、私はシンデレラ以外の何者でもない。
きっと、宝くじの1等が当たるより幸せなことだよね。



「緊張しなくて良いからな。」

「は、はい。」



はいとは言ったものの、もうすでに緊張しまくりです。
とにかく、大きな失敗だけはしませんように…



(母さん、私を守ってね!)



心の中で呟いた。