「あ、あの…那月さん…
本当に良いんですか?
この結婚は、私にとってはメリットだらけですが、那月さんにとっては何も良いことなんてないと思うのですが…」

「俺は、結婚さえしてもらえればそれで良い。」

「で、でも……
私、見た目もこんなですし、那月さんより年上ですし、ネット難民で家もなくて、高卒だし、料理もうまくないし…」

「俺は、そんなこと、何も期待していない。
俺のことは同居人だと割り切ってもらえればそれで良い。
そんなことより、そろそろ出かけるぞ。」

「え?」



どこに?と聞く暇もないままに、私は、那月さんに連れ去られ…
タクシーに押し込まれて、着いた先は大きなホテルだった。



「那月さん…ここで一体何を?」

「ドレスを決めないとな。」

「ド、ドレス!?」



なんと、那月さんはすでにホテルでの結婚式を予約していた。
私は、着くなり、ドレスをとっかえひっかえ…



「やはり、これが一番お似合いかと思うのですが…」

「そ、そ、そうですか…?」

私は、もはやどれが似合ってるかなんて判断も出来ない程、疲れていた。
確かに、初めて着るウェディングドレスにはちょっとウキウキもしたけど、なんせ着替える回数が多すぎて、いつしかウキウキもどこへやら…