「ビルと駐車場をいくつか持っている。
その収入で十分暮らせるのでな。」



な、なんですと~!?
まだ三十路にもならないうちに、そんな悠々自適な生活してるの??



「で、でも、それは…ご両親から…」

おずおずと私がそう言うと、那月さんの目が鋭く光った。



「確かに、最初に土地と金はもらった。
だが、それはそもそも我が家のしきたりのようなものだからな。」

「しきたり…?あ、あの…詳しく教えていただけませんか?」

那月さんは、私を睨みながら、わざとらしく大きなため息を吐いた。



「あのな、我が家では、10歳の誕生日に100坪の土地と、100万の現金をもらうんだ。
その狭い土地と金をどう運用するか…
つまり試されるんだ。
10歳からは小遣いはもらえない。
必要最低限の面倒はみてもらえるが、欲しいものがあれば自分でなんとかするしかないんだ。
18になったら、家も追い出される。
学費だって払ってもらえない。」



なんてスパルタな…
私は那月さんの話を聞いて、驚きすぎて何も言えなくなってしまった。