「式はなるべく早くにしようと思う。」

「そうですね。……え?」



今、那月さんはなんて言ったっけ?
確か、『式』って言わなかった?



「段取りは全部俺に任せてくれ。
それとも、なにか要望があるか?」

「え…?段取り…ですか?
その前に…なんの式なんですか?」

「なんのって…結婚式に決まってるだろう?」

「えっ!那月さん、ご結婚なさるんですか?」

「そうだ。そういう約束だからな。」

「それは、おめでとうございます。」

私がそう言うと、那月さんは怪訝な顔をした。



「めでたいことは何もない。
それで…要望はあるのか?」

「要望…ですか?
何の?」

「だから!あるだろ!
洋風が良いとか、和風が良いとか!」

こわっ!那月さんは急に苛立って、私を睨む。
なんで苛々してるのかも、何のことなのかも私にはわからないけど…



「で…どっちが良いんだ!?」

「ど、どっちって…」

何のこと?あ…さっき言ってた洋風か、和風ってこと?



「え…えっと、私は洋風かなぁ…なんて…」

とりあえず、そう言ってみたら…



「そうか…わかった。」

那月さんは、小さく頷く。



あ、もしかしたら、結婚式の案を私に訊いてたのかな?と、気が付いた。
でも、そんなことなら、奥さんになる人に訊けば良いのに。
私の意見なんて参考にしたって…あ、そっか。なんらかのサプライズ企画?
え?でも、結婚式をサプライスで挙げられるかな?



なんだかよくわからないまま、私は昼食を続けた。