(ふわぁ~…)



広いお風呂の窓からは、夜景が見える。
泡が出る装置やら、テレビまでついててびっくり!
ゴージャス過ぎて、落ち着かない。



とは言いながらも、お腹はいっぱいだし、お風呂はとっても気持ち良いし。
だんだん眠くなって来た。



私ってもしかしたら、ものすごく厚かましい人間だったのかもしれない。
那月さんが優しいのを良いことに、ご馳走してもらって、さらには泊めてもらって…
ありがたいことに、心配したようなこともなさそうだし。



考えてみれば、私には女子力の欠片さえなく、男性がムラムラ来るようなタイプではない。
そうでなくとも、那月さんみたいなイケメンだったら、女の子に不自由するはずもないし。



ってことは、ああ見えて那月さんは意外と良い人で、私が家もお金もなさそうなのを見抜いて、可哀想に思って保護してくれた…って、多分、そういうことなんじゃないかな?
だったら、今はその好意に甘えさせていただこう。
もう何日かしたら工場のお給料が出るし、そしたら、またネットカフェに戻れると思うし、その間だけ…



(あ……)



私はあることを思い出していた。
そう…今朝、引いたカードのこと。



『miracle』



まさにその通りだ!
これが奇跡じゃなかったらなんだっていうんだ。
私の占い、すごい!大当たりじゃない!



そんなことを考えながら、ふかふかのベッドに横になる。
あぁ、なんて気持ち良いんだろう…
私はいつの間にか夢の世界に旅立っていた。