「あ、ありがとうございます。」



チャーハンや餃子ではないにしろ、カレーライスとかピザが来るのかと思ったら、なんと、来たのは、私がいまだかつて一度も食べたことがないような分厚いステーキ、しかも、サラダにスープに、給仕をしてくれるお兄さんまでが付いて来てる。
な、な、なんですか!?これは…



うっ…ナイフがすっと入る…
口に運ぶと、すーっと消えてしまう柔らかさ…
あぁ、美味しすぎて涙が出そう…!



最後には、コーヒーと見た目にも可愛いスイーツまで出て来て、私は幸せな満足感に包まれ、さっきのスイーツみたいに全身がとろけてしまいそうだった。



「……ご、ごちそうさまでした。」

那月さんは何も言わず、ただ小さく頷いた。



「じゃあ、これからのことは、また明日にでも話そう。」

そう言って、那月さんは立ち上がる。



(これからのこと…??あ!)



「あ、あの…本当に泊めていただいて良いんですか?」

「泊める?おかしなことを言うな。
あそこはお前の部屋だ。」



いえ、おかしなことを言ってるのはあなたですから。
私とあなたは初対面で、私がここに来たのは初めてなんだから。



「あ、これ…部屋の鍵。」

「ど、どうもありがとうございます。」

それだけ言うと、那月さんはすたすたと部屋を出て行った。