「ちょっと…」

「す、すみません!」

「こっちへ。」

「は?」



お腹の虫のことを怒ってるわけではなさそうだった。
那月さんに、手招きされてついて行く。



「ここを使ってくれ。」

「え?」



那月さんがそう言ってドアを開いた。
中にはベッドが二つと大きなテレビ、そしてソファとテーブルがあって、奥にも扉がある。
客間って感じの部屋だ。



「えっと…使うっていうのは…」

「家…ないんだろ?」

「えっ!?」



バレてた!?
那月さん…もしかしてあなたはエスパーですか!?



「あ、あの…じ、実は…その…」

「何か足りないものがあったら、言ってくれ。」

なんと言えば良いものかと困っていたら、那月さんはそう言い残して、さっさと部屋から出て行った。
那月さんがいなくなったのを確かめてから、そっとベッドに座ってみる。



(わぁ…!)



ベッドはふかふかだ。
布団(?)はすべすべしていて、とても触り心地が良い。



(わぉ~!)



奥の扉を開けると、なんとそこにはトイレとお風呂があった。
私の部屋よりも広いクローゼットも付いてる。
なんてゴージャス!
これがホテルだったら、きっと一泊何十万もするね。



(うわぁ~…)



カーテンを開けたら、そこには広いバルコニー。
そこから見る景色に私は思わず圧倒される。
まるで、この世界の夜景を独り占めしてしまったような気分を感じた。