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「お前さ、千花の隣行き過ぎ」



千花の部屋からの帰り道。
隣を歩く明日汰にそう釘をさす。



「あれ?俺ならいいんじゃなかった?」


「日奈子かよ」



たしかに〝明日汰なら〟と思った。
でも、やっぱり俺だって千花を好きだから。
付き合えないくせに何を言うんだって話だけど、でも好きなもんは好きだから。


「だったら永人だって前にも増してスキンシップ増えてない?」


「千花は俺のことが好きなんだよ。いいだろ少しくらい……」


「いや、振ったくせに」



明日汰の言葉に何も返せなくなる。

たしかに俺は千花のことを振った。
でも、ずっと好きだった千花が俺のことを好きになってくれたわけで。

そうなるとやっぱり嬉しくて、体は正直だ。



「千花が俺のこと好きだって今日もう1回言ってくれて」



あれは不意打ちすぎて、思わず〝俺も〟と言ってしまいそうで焦った。