言ってしまった。
やっぱり颯斗はみんなのこと……
「……あ、悪い。いきなり馴れ馴れしいよな。俺らはお前が通ってる学校のサッカー部だよ。俺はそのキャプテン!颯斗さ、サッカー部だったんだせ?覚えてないか?」
部長はいつもの調子で言った。
でも、声が震えてた。
一瞬、辛そうな顔をしてた。
それはみんなも同じで、みんな声を少し震わせながら颯斗に自己紹介した。
忘れるってこういうことなんだ。
みんなの気持ちは分からない。
でも、私にもいつか、みんなの気持ちが分かる日が来る。
颯斗に「誰?」って言われる日が来る。
私、思ってた。
心のどこかで、颯斗は私を忘れないって。
そんなわけない。
病気は少しずつだけど確実に進行してる。
必ずすべてを忘れてしまうんだ。