「優杏ちゃん、ありがとう。あの子、きっと今凄く嬉しいと思う」



颯斗の病室のドアを見つめていると、お母さんが言った。
お母さんも颯斗の病室のドアを見ていた。





「嬉しい?」



「うん。あの子、病気のことは誰にも言うなって言ってたんだけど、優杏ちゃんがこうして来てくれて嬉しいと思うの。やっぱり怖いでしょ?まだ高校生なのに、死が間近に迫ってるなんて」





「そう、ですよね」



「本当にありがとう、優杏ちゃん」




お母さんは私に優しく微笑んでくれた。







私は意を決し病室のドアを開けた。