その時

















閉じていた颯斗の目が少しだけ開いた。




















「颯斗!?」






















「……とう」













「え?」



















か細い声に耳を澄ます。






















「おめで、とう」
























小さいけれど、しっかりした声で言った颯斗はそのまま……。




































ピー





















































静かに目を瞑った。


























「十六時五十三分二十秒。

























































死亡」

























時計を見ながら告げられたその言葉に、颯斗のお母さんは泣き崩れた。






















私は何故か涙が一滴も出なかった。














































人って本当に悲しい時、涙が出ないんだなと思った。