「お待たせ!俺特製、スパイシーお好み焼き!」




およそ十分後。お好み焼きが運ばれてきた。



ん?スパイシーってことは……。







「辛い、のか?これ」






颯斗がお好み焼きを指さして言った。









「ああ。ハバネロ入れてみた!」






お好み焼きを持ってきた男子が、親指を立てて得意気に言った。









いやいや!
普通ダメだよ!
颯斗は病人なんだよ!?





その男子の言葉を聞いたとたん、周りにいた女子が一斉に怒り出す。
ふざけるなって感じで。
もちろん、私も怒った。






「考えてよ、颯斗は病気なんだよ!?それなのに、辛いの食べさせるなんて!」







「で、でも、颯斗は食べているけど……」






男子の言葉に疑問を感じ、颯斗の方を見てみるとそこにはスパイシーお好み焼きを食べる颯斗の姿が。







「は、颯斗!?ダメだよ、食べちゃ!」




私が慌てて止めようとするけれど、颯斗は食べることをやめようとはしなかった。






そして、食べながらこんなことを言った。








「病気だからって、みんなと同じものが食べられないとかおかしくない?俺、辛いの好きだし、これは普通にメニューで出ているやつだろ?俺はみんなと同じことがしたい」








そう言って、颯斗はまた辛いお好み焼きを口に運ぶ。
みんなと同じことがしたいって思うのは、普通のことなのかもしれない。




でも、それで颯斗の体に何かあったらどうするのよ。








「潮田さん。颯斗くんの言うこと、私分かるかも」






さっき男子に一緒に怒った女子が、私に声をかけてきた。







「病気になったことないからよくは分からないけど、病気でも私たちと同じ人間でしょ?病気だからって、辛いの食べちゃダメなんておかしいんじゃないかな。颯斗くんは今まで通りに接して欲しいと思うんだ。今まで通りの生活がしたいと思っているんじゃないかな」








その言葉で目が覚めた。









そうだ。
颯斗は病人である前に、私たちと同じ人間なんだ。颯斗だけが特別なんじゃない。だから、病気っていう理由だけで、みんなと違うような扱いするのはおかしいよね。







「颯斗。それ、美味しい?」
 




彼の前の席に座って聞いた。







「うん。ハバネロって初めて食べたけど、思っていたより、美味いな」







今までずっと颯斗のこと見て来た。何度も元気をももらった。






病気になってからも、病気ってことを忘れるくらい、颯斗はいつも元気だった。







私もそうでいなきゃね。