オムライスを食べて店から出て次に向かったのは、私たちのクラスがやっているお好み焼き屋さん。










春馬と桃花は別のイベントで司会をするみたいだから不参加だけど。








「ここ、優杏のクラスがやっている店?」










「うん!みんな颯斗が来ることを楽しみにしていたんだよ」












私は車椅子を押しながら、大きく頷いた。颯斗を一番連れて来たかった場所が、ここなんだ。






自分のクラスがやっているお店だからっていう理由じゃない。








クラス全員が、颯人が文化祭に来てくれることを楽しみにしていたからだ。









「お、颯斗!来たのか!」










「颯斗くん!来てくれると思っていたよ!」








私たちが教室に入ってくると、中にいた生徒たちが一斉に颯斗の所へ集まる。










もちろん、颯斗は病気のせいでクラスメイトたちのことは覚えていない。










でも、みんな優しい人だって分かったから、颯斗は笑っているのかもしれない。











「颯斗。俺らが作ったお好み焼き、食べてくれよ。結構、売れているんだぜ!」









クラスメイトの一人が、颯斗に言った。その顔はとても嬉しそうだ。










「ああ。食べてみたい」









颯斗のその言葉を合図に、私は車椅子を押してテーブルの近くまで行った。










「よし。ちょっと待っていろよ!今すぐ持ってくるからな!」












さっき颯斗にお好み焼きを薦めた男子が、急いで厨房へ向かった。








その男子の様子を見て、颯斗が笑いながら言った。














「あんなに急がなくても良いのに」


















颯斗の笑顔に、私を含むクラスの女子は顔を赤くした。やっぱり、この颯斗の笑顔には心が癒される。