「乃亜。この病院で仲良くしてくれてありがとう。でも、やっちゃいけないことってものがあるだろ?それに引っかかった俺も悪いけどさ」
乃亜ちゃんを諭すような口調で、颯斗は優しく言った。
乃亜ちゃんは少し悲しそうな顔をしてた。
「颯斗、くん」
「だからと言って乃亜を俺から引きはがすつもりはない。お前は、根は良い奴だから、きっとこいつらも分かってくれる」
こいつらっていうのは私たちのことなんだろう。
颯斗が私や桃花、春馬を見てるから。
「しょうがないなぁ。颯斗くんがそう言うなら仲良くするしかないじゃない。よろしく、乃亜ちゃん」
まっさきに乃亜ちゃんに近寄ったのは、さっき凄く怒ってた桃花だった。
乃亜ちゃんは一瞬たじろいたけど、桃花の優しい笑顔に警戒心を解いてた。
「俺もよろしく。2人に何かしたら俺が1番許さないから」
乃亜ちゃんには気を付けろって言ってた春馬も、桃花に続き乃亜ちゃんに近寄った。
私もそれに続いて乃亜ちゃんに挨拶した。
「うん。みんな、ありがとう」
乃亜ちゃんは泣きながら、私たち1人1人と握手してくれた。
私は颯斗の方へ向いて、2人で笑い合った
嬉しかった、颯斗の記憶が戻ったこと、乃亜ちゃんと分かり合えたことが。
でも、私たちはまだ知らなかった。
この病気の本当の恐ろしさを。