「1回お見舞い行ったくらいで負けるわけないだろ?現に、交代制でお見舞い行って3回戦まできたじゃねぇか」
春馬は少し呆れながら言った。
でも、1年の子は春馬の言葉を否定するように言った。
「春馬先輩じゃなくて、3年の先輩ですよ。今年最後だし、去年は残念な結果に終わったって聞いたから今年こそは優勝して欲しいんです」
「お前、良いこと言うな」
黙って話を聞いてた部長が、嬉しそうに言った。
でも、すぐに笑顔を崩し真剣な顔で1年の子に言った。
「でも、それで自分が無理するのは違うだろ?颯斗のことを悪く言うわけじゃないけど、自分を忘れてる奴に会うのは凄く辛いことなんだぞ。お前もこの前、病院に行ったから分かるよな?」
「先輩……」
部長に優しく頭を撫でられ、1年の子は泣きそうな顔をしてた。
「協力することが1番大事だ。試合に向けて練習するのも大事だけど、本当に大事なのは、仲間に頼ることじゃないのか?」
その部長の言葉で、遂に1年の子は泣き崩れた。
堪えてた涙を全部吐き出すように。