グラウンドに輝く選手を応援する多くの人々の声。
その声に交じって私も必死に声を張り上げる。
「行けー!」
サッカー部のマネージャーである私、潮田優杏(ゆず)は今日も選手に声援を送る。
この日は3年の先輩にとって、最後の試合。
だから、私たち1年と2年の先輩たちは3年の先輩に気持ちよく引退してもらうためにも、何としてでもこの試合に勝たなくてはいけなかった。
でも結果は残念ながら8位。
少し悔しかったけど、3年の先輩たちがとても嬉しそうな顔をしていたから、あまりこの結果が悔しいとは誰も思わなかった。
聞けば、今回の結果は今までで最高だったらしい。
だから、先輩たちはこんなにも嬉しそうな顔をしていたのかもしれない。
「これで俺たちは引退だけど、お前らはまだまだだ!これから俺らの分まで頑張ってくれよな!」
部長がそう言うと、みんなは泣きながら大きな声で返事をした。
もちろん、私もたった半年間だけど先輩とはたくさん思い出があるから引退してしまうことが寂しくて仕方がない。