先輩のほうに顔を向けたわたしの手を
ぎゅっと握りしめると
叶くんは、

「ちゃんと、考えて。」

とだけ言うと、
わたしの隣からも、東雲先輩からも、
逃げるように海辺に向かっていった。

「偶然だね、百合ちゃん。俺たちは男連中で遊びに来たんだよー☆」

ほらほら、と何人か顔見知りのメンツ。
愛花ちゃんの好きな獅童先輩もいる。

もしかして、あの愛花ちゃんの
ルンルン加減は
来ることを知ってたーーーかも。

「百合ちゃん、もしかして水着?」

『あ、はい。愛花ちゃんに借りました。』

「かわいいっ。」

いつもの、子供みたいに無邪気な笑顔。

「あのさ、百合ちゃんさ、楽しそうなところ申し訳ないんだけど、告白されてたの?」

から、一変して冷たい顔に変わる。
珍しくスンッとした鋭い目。
わたしを観察しているかのよう。

『は、い。』

「そっか。だから顔が赤かったんだ。彼、有名だもんね、イケメンなのに硬派で。彼女もいないみたいだし。」

先輩も叶くんのこと知ってるんだ。