「りゅうの...バカ」


「ああ。」


「我慢しないでよ」


「......してない」


「私なんかのために、無茶しないでよ」


「お前のため以外に無茶しなかったら、何に本気になればいいんだよ」


「...」


「ムギだから、ムギのことだからこんなに焦るんだよ。
お前が人質に取られて、これで2回目だろ?
......2回も俺の心臓は鳴り止んだんだ。

お前の事になると、死んでんだよ、俺の体。
ムギがいなくなることに怯えすぎて、もう何がなんだか分からなくなってる」


「...っ」


「そのくらい、愛しいんだって。」



見つめ合って、揺れ動いた心と瞳が、互いの痛みをかき消すように、甘くなっていく。



まだ、震えが止まらない手を、流の腰に回せば。
愛しそうに、目を細めながら笑う流に、何度だって胸が高鳴るんだ。