「やめて...」

「...はあ?」

「やめろって言ってんのよ!!」



俯いていた顔を上げ、勢いよく坊主頭の腕に噛み付いた。


「...っ!!」


坊主頭の声にならない声が、耳の後ろに触れた様な気がする。


女だからって、黙って見てるとは限らない。


男の体が私から離れた瞬間、勢いよく飛び出す。


「ムギ、おまっ...!?」



死に物狂いで、流に向かっていく。

さすがの流も、この展開を予想していなかったのか、驚いた表情を見せる。



「テンメェ...!!」


すぐ後ろから坊主頭の殺気が、ピリッと肌に触れて
もしかしたら殴られるんじゃないかって、目を細めながらその場にしゃがみ込む、けど。



ーーバキッ


鈍い音が鳴る。


視界に飛び出してきた拳が、私の横を通り過ぎ
後ろにいた坊主頭の頬を勢いよく殴る。




「圭...っ」


私を助けたのは流ではなく、茶髪を揺らせ、静かに息を吐く圭だった。