圭の表情は、茶化すなと言いたげだ。
私が止めに入らなくたって、この2人の関係は最後まで壊れなかった。
信頼し合ってると、簡単には許せないことまで許せてしまうから不思議。
これ以上、2人の会話を聞いてるのも悪いような気がするから。
コソコソと、泥棒みたいに。小さな物音さえ立てずに、この場から離れようとした。
ーーが。
「きゃっ...!」
後ろを振り向き、1歩足を前に出す瞬間だった。
大きな影に呑み込まれるかの様に、突然現れた体格のいい坊主頭に、腕を掴まれ、身動きが取れない状況に。
一体、何が起きたのか自分でもよく分かっていない。
後ろに人の気配なんてなかったはず...。
それなのに、どうして。