1度離れた世界からは、もう戻ってはこれない。


今いる場所を離れるということは、圭を裏切るという形にもなる。


そりゃあそうだ。
相談も何もされずに離れていくなんて...そんなの、苦しいよ。


憧れでもあり、親友でもある流に。
そんな事されたら、圭はきっと傷つくと思う。



まるでそれは、圭に振られた時の私の気持ちみたいで。
その痛みがわかる分、私まで胸が苦しくなるのはなんでだろう。


最低だけど、流と私が付き合って、何かとフォローしてくれた圭に。


私とおんなじ痛みを味わえばいいなんて、そんなひどいこと思えるわけがない。



ーーそれでも。




「どの道、同じ"場所"で留まり続けることなんて...無理だと思う。」


「...」


「だからね、山崎くん...私」




圭からどんなに恨まれてもいい。


私はこの手で、流を迎えに行く。


流を流の"居場所"から連れ出したのが私なら。
それを流自らが望んでないと少しでも思えたら、圭だってきっと、救われると思う。




こうなったら悪役にでも、なんにでもなってやろうと思う。




流が私のために、自らの居場所を手放そうとしているなら
私だって流のために何かしてあげたいんだ。