『ありがとう。』


「...習っていたのか?」


『えぇ。この曲はヴァイオリンで弾く中で、お気に入りの曲なの。』


「...そうか、俺も、その曲は好きだ。」


『同じね。』



私はヴァイオリンを置いて壁付近にあった黒のシンプルなチェアーを奏斗に渡す。



『私の母さんはね、歌を歌うのがとても上手で私は演奏したいって思ったの。そこからかな、音楽にはまったのは。』