「…オイ、お前大丈夫か。」



『大丈夫…大丈夫…。ちょっと、腕を貸してもらえると有難い。』



「…ああ。」



こんなのほっとけばすぐ治る。ほっとけば、治るんだから。思い込めば、大丈夫。大丈夫、慣れてるから。




「…あれ、アンタもしかして、学校で絡まれてたんちゃう?」



『……助けてくれた…人?』



「まーた絡まれとったんかい。…大変やな。」



『…そう…かな。』



「……。」



その男はいきなり私をひょいっと持ち上げた。まるで大きい荷物を持つように、軽々と抱き上げた。



「キング、持ってく気か。俺は別に構わんケド。」



「ああ。」



『????』



…とりあえず、どういう状況なのか理解出来なかった。



そして抱き上げられたまま、徒歩でどこかに連れていかれた。…じたばたするのも忘れて。