「…ッとにかくアンタは…灯さんは逃げろ!」



『い、いやでも…』



「いいから!アンタが傷一つ付けられたら俺が殺されるから!早く行け!」



『…ッわかった、すぐに人呼ぶから…!』



今は逃げよう。それで人も読んで、なかなか来なかったら、私が行けば良い。



とりあえず逃げ…ッ



「オイオイ、待てよかーのじょっ」



後ろから抱きしめられた。…気持ち悪い…。



『…ッは、離し…!』



「逃がさないよ、俺はお前をあの方に渡さなきゃいけねぇからな…」



『…ッちょ…〜〜ッ!』



もうかまそうか!と思った瞬間



気づいたら後ろの重みが消えて、男のぐえって言う声が聞こえて、振り返ると壁に顔を当てたまま気絶していた。若干血も出て…



『………血…?〜〜ッ!!!!!』



「見るな!」



勢いよく引き寄せられて、顔を覆い隠すように何故か抱きしめられていた。



『…ッ…?』



…あれ、この香り…?…記憶がある。この匂い…。